第179回学振ナイロビセミナーのご案内(2016年6月18日(土))

更新日:2016/05/30

第179回学振ナイロビセミナーを以下のとおり開催いたします。

演題:「在来知の再評価とアジア・アフリカ協働による砂漠化対処および地域開発アプローチを探る(International Workshop: Re-appraisal of indigenous knowledge and Possibility of Asia-African collaboration for desertification control and rural development approaches)」
開催日時:2016年6月18日(土)14時~
会場:日本学術振興会ナイロビ研究連絡センターセミナー室

講師:田中 樹 先生(総合地球環境学研究所教授)
   石山 俊 先生(総合地球環境学研究所研究員)
   清水 貴夫 先生(広島大学教育開発国際協力研究センター・研究員)
司会:溝口 大助(ナイロビ研究連絡センター)

発表言語:日本語
参加料:無料
事前申込:不要(どなたでも参加できます)

主催:総合地球環境学研究所・日本学術振興会ナイロビ研究連絡センター
問い合わせ先:溝口大助・上村知春(jsps1@africaonline.co.ke)

概要:”アフリカ半乾燥地は、砂漠化と貧困問題の最前線の一つである。その解決は、『国連砂漠化対処条約(UNCCD、1994)』や『ミレニアム開発目標(UNDP、2000)』などに見られるように、国際社会の最優先課題の一つであり、学術研究と社会実践の両面での貢献が長らく求められてきた。しかし、砂漠化対処条約の批准から20年が経過し、貧困削減に向けた地域開発支援はすでに半世紀が過ぎようとしているが、これまでに実効ある成果を上げたとは言い難い。これらの問題は、地球的課題あるいは関心事である半面、複雑で多岐にわたる局地的現象の集合とみなすことができる。そのため、対処法を探る取り組みには、むしろ、地域の資源・生態環境や人々の暮らしに焦点を当てた、丁寧なフィールド研究の 積み重ねと、これらの知見に基づいた人々の暮らしに則した対処法の実装が望まれている。同時に、手詰まり感や援助疲れがささやかれる中、何らかのブレークスルーとなる契機や発想転換が必要とされている。
 本セミナーでは、アフリカ半乾燥地でのフィールド研究に取り組んできた研究者とともに、それぞれの活動地域での経験や在来知、そしてそれを活かした技術・アプローチのアイデアを持ち寄り、砂漠化対処など種々の問題解決に資する地域開発支援のあり方を探る。”

講師:
石山 俊 先生
極端気候下における生業の多様化-ブルキナファソ、グルマンチェの事例
(Shun ISHIYAMA Diversification of livelihood under extreme weather: A case study of Goumantché people in Burkina Faso)
サハラ南縁の乾燥社会(サーヘル)の人々は、乾燥地特有の激しい降雨変動状況下において、長い間暮らしを営んできた。その暮らしや生業には、降雨変動を生き抜く知恵が埋め込まれている。本発表の目的は、現代サーヘルに住む人々が、どのような知恵を持って降雨変動に対処しているかを考察する。考察対象となるのはブルキナファソ北東部に分布する農耕民グルマンチェである。

清水 貴夫 先生
半乾燥地における水食対策の「ローカル・ナレッジ」と適正な技術:西アフリカの事例から
(Takao SHIMIZU ’Local knowledge’ and appropriate technologies against water erosion in semi-arid West Africa)
 「70年代にシューマッハが「中間技術」の概念を提出したころより、「砂漠化」対処を含む援助の方針は、地域に密着した社会開発へと変更され、その過程で地域の知、すなわち「ローカル・ナレッジ」が注目されるようになる。本発表では、まず、「ローカル・ナレッジ」の概念を整理し、ブルキナファソ、ニジェールといった、いわゆるサヘル地域での人びとの営みの事例から、研究、援助で施行された方法と、こうした知や技術と交叉し、混交した現代的なローカルな知や技術の在り方を再考する。」

田中 樹 先生
アフリカ半乾燥地での砂漠化対処「緑の長城計画(GGWSSI)」へのアイデアボックス
(Ueru TANAKA Idea box of practical techniques contributing to “Great Green Wall Initiatives (GGWWI)” for desertification control and livelihood improvement in semi-arid Africa)
 「『緑の長城計画』は、アフリカ連合などが主導する砂漠化対処への国際プログラムで、セネガルからジブチにいたるアフリカ半乾燥地での暮らしの向上や資源・生態環境・地域文化の保全・土地荒廃の抑制や修復をねらいとしている。一方で、その現場では旧態依然とした(必ずしも適切とは言えない)技術オプションが繰り返されている。発表では、セネガル北西部の「農牧混交地域を想定し、その生態環境や地域住民の暮らしの実態に合った幾つかの実践的な対処技術を紹介する。」

皆様のご参加を、心よりお待ちしております。

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