更新日:2016/07/29
JSPSナイロビ研究連絡センターは、第180回学振ナイロビセミナー(ナイロビ研究連絡センター創設50周年記念連続講座)を以下のとおり開催いたします。
皆さまのご参加をお待ちしております。
現在、TICADⅤ以降、日―ア学術協力連携、科学技術協力がアフリカ54か国で喫緊の課題となっています。2016年8月のTICADⅥ(TICAD 6)でも、エボラ出 血熱の流行、アルシャバブ、ボコハラムなどのテロ問題が国際支援上の難問として立ちはだかっており、更に、資源・エネルギー問題、国際保健システム構築、 食料の安全保障、人間の安全保障(難民問題、紛争、テロ)、環境保全をはじめアフリカの諸問題解決は、2015年にAUにより採択された「アジェンダ 2063」(アフリカの開発大綱)の最重要課題となっています。とりわけ、環境保全については、国際共同研究を通じて緊急に解決すべき課題となっていま す。ところが、現在でもアフリカ大陸54カ国の研究開発投資は圧倒的に不足がちであり、先進諸国とのアフリカ共同研究も低水準に落ち込んでいます。以上の 背景のもと、本セミナーの目的は、環境保全、地域研究、生態人類学、食糧の安全保障、開発学の視点から、日-ア学術共同研究・研究開発の成果を考察する点にあります。
演題:「アフリカ漁民文化の比較研究 ― 水環境保全レジームの構築に向けて ―」
African Fisheries Cultures in Comparative Perspective:― towards the construction of aquatic environment conservation regimes ―
開催日時:2016年8月7日(日)14時~16時
講師:今井 一郎 先生(関西学院大学・総合政策学部教授)
司会:溝口 大助(ナイロビ研究連絡センター)
会場:日本学術振興会ナイロビ研究連絡センターセミナー室 →アクセス https://www.jspsnairobi.org/access
(google map: 1°16’29.3″S 36°46’08.4″E)
発表言語:日本語
参加料:無料
事前申込:不要(どなたでも参加できます)
主催:日本学術振興会ナイロビ研究連絡センター
問い合わせ先:溝口大助・上村知春(jsps1[at]africaonline.co.ke)
概要:
アフリカ大陸では、海洋面、内水面ともに多彩な漁業活動が行なわれ地域住民の重要な生業となってきた。それにもかかわらず、これまでアフリカ 漁民社会の生活文化や資源利用の解明を目的に調査研究チームが組まれたことは無かった。本研究チーム(アフリカ漁業研究会)は、アフリカ諸国における漁民 文化の比較研究を行ない、それらの文化がいかに多様であるかを明らかにし、狩猟採集、牧畜や農耕など他の生業とは異なるアフリカ漁業活動の特性を解明する ことを目的に結成された。
本研究チーム(アフリカ漁業研究会)は、アフリカ漁民文化の比較研究のために、1)湿潤内水面(マラウィ、ザンビア、マダガスカル)、2)湿 潤海面(ケニア、タンザニア)、3)半乾燥内水面(カメルーン、ウガンダ)、4)半乾燥・乾燥海面(マダガスカル、スーダン)などの調査対象地域を設定 し、学振から科学研究費補助金(海外学術調査)を取得し2015年度から調査研究を進めている。4年の調査期間において地域ごとの比較を行ない、アフリカ 漁民が実践してきた資源利用秩序の特質を解明し、それに基づき住民生活の改善・向上につながる水域環境保全レジームの構築を目指すものである。
本発表では、研究代表者の今井一郎が本研究の趣旨と対象を説明する。次に、今井が1983年から継続しているザンビア・バングウェウル湿原における漁撈活動について研究成果の一部を紹介する。さらに、近年調査を進めているマラウイ・チルワ湖における漁撈活動の現状と問題の概略について報告する。時間が許せば、ケニア、マダガスカルなどアフリカの他の水域における調査研究の概略も紹介したい。本発表で用いる研究成果の一部は、科学研究費補助金 (基盤(A)15H0261「アフリカ漁民文化の比較研究―水域環境保全レジームの構築に向けて―」(平成27~30年度)(研究代表者:今井一郎)の研究成果であることを記して謝意を表する。
使用言語:日本語